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2016年3月 7日

最近思うこと


院長の鷹橋です。先日、今はやりのLINEなるもので大学時代に仲のよかった同級生と近況を報告しあっていたのですが、その中でインプラント治療の術式や顎関節症を治癒に導くための上顎に対する下顎の位置の模索法、考え方などお互いのこれまでの25年間の臨床経験に培われた、非常に専門性の高い話になったのです。

その中で面白かったのが、友人は歯を失うことが非常に生命体の恒常性にとって悪影響を及ぼすので、入れ歯治療よりも、インプラント治療を主体にして口の中をほぼ完全な形に戻そうと、特化して高い技術を維持しながら、歯科医業を営んでいるスタイルでした。

それに対し、わたくしのスタイルは、インプラントを必要としている適応症の方には、もちろんインプラントを盛んに行ってはいますが、インプラントが出来ない方々への入れ歯治療、中でも要介護高齢者に対する入れ歯治療にもかなりのウエイトを置いて治療を行っているというものでした。ここでは詳しく述べませんが、どちらにも一長一短あるわけです。

まずは久しぶりに、同級生と実のある話ができてとても嬉しかったのですが、あとで、もう一度自分のスタイルについて考えてみたのです。

[なぜ自分は要介護高齢者の訪問歯科にこだわるのだろうか?]

院内に来てくださる外来患者様だけでもやることはたくさんあるし、そこに集中してもよいのではないか?・・と。
これまでも開業してからなんども同じように考えたことがあります。もちろん、自分は母校大学病院の研究室で教員をしていたころは、入れ歯や顎関節症に関連する研究を行っていたのでそれを生かしたいというのもあるのですが、よくよく考えると、大学時代のある事件がきっかけになっていることに気付いたのです。

私は当時、日本歯科大学補綴科から提携の北里大学医学部付属病院口腔外科への出向が命じられ、1年間赴任した経験があります。そこでは歯科大の付属病院とは異なり、消化器、循環器、内科、外科から精神科などありとあらゆる科から、口腔外科へ難症例として患者様が送り込まれてきて、そこで研鑽させて頂いて大変勉強になったのですが、いまだにどうしても忘れられない症例があるのです。
その方は、75歳くらいのおばあちゃんでした。外科から口腔外科へ入れ歯を作ってほしいと送り込まれて来たときは、ストレッチャーに括り付けられていて、ねたきりで会話も全くできず、コミュニケーションもわずかにとれる程度でした。 
今から、17年前の話ですから、まだ若かったわたしはおそらく無我夢中で総入れ歯を作ってそのおばあちゃんのお口に入れました。

すると、どうでしょう。みるみる、急性期を脱し、回復してきて、1か月で起き上がれるようになり、会話もできるし、自力で食事もとれるようになりました。わたしにも「今日、久しぶりにダイフク餅を食べたのよ~食いしん坊なっちゃて、ありがとう~」と言ってくれました。わたしは、心の中で「よし!」と叫び、舞い上がったような気分でした・・・・・しかし、意気揚々と次の週に北里大に行くと、もうそのおばあちゃんはいませんでした・・・この世から・・・

私には知らせてもらっていなかったのですが、末期がんで余命幾ばくもない方だったのです。私は、ショックでしばらくやるせない気持ちとどうしようもない無力感に襲われました・・・・

重い病気なのにもかかわらず、ありがとう!と言ってくれた「優しい眼」、あの「眼」がどうしても忘れらないのです。あの「眼」に突き動かされて、自分は今も訪問歯科現場に立って、時には100歳の方の総入れ歯を苦心しながら製作しているのだと、今になってやっと分かったのです・・自分を支えているのは、決して自分などではないと。

臨床医でいるかぎり、あの「原点」を忘れずにこれからも、微力ながらみなさまのお手伝いをしていきたいと考えています。

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たかはし歯科医院
院長 歯学博士 鷹橋雅幸

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